6BQ5/EL84 シングル 4W+4W パワーアンプ   

2019/1

小型MTパワー管の代表格・6BQ5/EL84を使った
シングルアンプを製作しましたのでご紹介いたします。

6BQ5/EL84は、1950年代にオランダ・フィリップス社で開発されたミニチュア管のパワー管ですが、
小さなエネルギーで大きな出力が得られること、プッシュプルでは10W以上の出力を楽に出すことが出来るため、
またたくまに世界中のアンプメーカーが使用して、一大名球となった真空管です。
また現在でも変わらず製造・使い続けられており、とても信頼性のある球であるといえます。

今回は、この6BQ5/EL84を使用して、どなたでも真空管アンプを手軽に楽しめる
シングルA級アンプを製作いたしました。





アンプ全体のレイアウトはコンパクトにまとめて、シャーシはオークの無垢材を使用、表面はオイルフィニッシュとして、
明るく落ち着いた雰囲気に仕上げました。
オーク材は経年により琥珀色に変化しますので、使用するにつれてアンティークな雰囲気になっていきます。
シャーシ上面はオフホワイト、トランスはアーミーグリーン縮み塗装にて、周りの雰囲気に溶け込む自然な配色にしました。










電源トランス・出力トランスはもちろん、エイトリックトランス製・オリジナルの専用トランスを使用しています。
トランスは真空管アンプの音質を決める最大の要になりますが、
オーダーメイドアンプでは事前にお客様の好みの音質や、どのくらいの音量で聴くのかなどをお聞きして、
真空管と回路に最もマッチングの良いトランスを一つ一つ設計して、手巻きで特性や音質を調整して作っています。

それによって、市販品を組み合わせただけでは得られない音の奥行き感や、自然な感じが得られて、
小出力でも音痩せしにくく、また大きな入力が入っても頭打ちにならず
しっかりとスピーカーを駆動することができます。




今回のアンプでは、出力管回路に特殊なNFBを掛けるため、それに見合った専用の電源・出力トランスを搭載しています。
市販品では実現不可能な回路ですが、当方ではアンプの回路設計と同時にトランスの設計製造ができますので、
パーツによって妥協せず、アイデアに一致した真空管アンプが製作可能になります。







アンプのデザインでとても大切な部分、ツマミも、一つ一つエイトリック工房で手作りしています。
今回は、黒檀の角棒から丸棒を挽いて、そこからツマミを削りだして製作しています。
ただし、すべて木材を使用すると音のヌケが悪くなるため、実際にボリューム軸に固定される内周部分はアルミを使用して、
外周のみ黒檀でカバーするデザインにしました。







シャーシ内部は各セクションに分けて、できるだけすっきりと配線を取りまとめ、
誰がみてもメンテナンスしやすいように備えてあります。
後にパーツの交換等を行う場合にも、目的のパーツのみを交換でき、他のパーツを掻き分けたり配線ミスの誘発をしないように勤めています。


今回の回路は、12AU7の2段増幅+6BQ5の、合計3段増幅の回路になっています。
前段12AU7を2段増幅で使用することで、この段のインピーダンスを適切に下げ、NFBを掛けた場合の1段増幅のみの場合のゲイン不足を解消して、
余裕をもって出力管6BQ5をドライブすることができます。
出力管6BQ5はこの球の本来の性能を引き出すために、5極管接続で使用、トランス2次側からのNFBを出力管のカソードに掛ける CNF回路 を使用して、
3極管接続やウルトラリニア接続の大幅な出力低下を起こすことなく低歪み・低インピーダンスでスピーカーをドライブします。

NFBについては、出力管カソードCNFと、通常のオーバーオールNFBを併用して、しっかりと掛けてあります。
正しいNFBが掛けられるかどうかでアンプの性能・音質は大幅に左右されますが、このアンプ回路にマッチングする専用出力トランスの搭載により、
安定したNFBと、温かくやわらかい音質をもつ6BQ5/EL84の能力を目いっぱい引き出しています。






使用真空管は、
出力管 6BQ5/EL84、 初段管 12AU7/ECC82、 整流管6CA4/EZ81

すべての真空管は、きちんと動作試験が行われた良品であれば、
無調整で差し替え可能です。


最大出力は、4W + 4W (ノンクリッピング)
物理的な周波数特性は、20Hz(-1db) ~ 20KHz(-1db)です。

出力管の特性が良いこともあり、バランスのよい帯域特性に仕上がりました。
あまり大きなドライブ力を必要とするスピーカーや、ガンガンバリバリ鳴らす曲には不向きですが、
しっかりとしたグリップ感/押し出し感があり、大型ST管を用いたシングルアンプに引けをとらない充実のサウンドです。
また、どこかの帯域に偏らず、一番大切な中音域がしっかり伝送されるように調整を行っていますので、
聴いていて疲れない・音の誇張感の少ない音質となっています。

静かな部屋で、ゆっくりと音楽を楽しむのに最適な真空管アンプです。



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