KT77 プッシュプル 30W+30W ステレオパワーアンプ
2021/5
本アンプは、「押し出し感のある力強い音」、「倍音豊かで艶のある音」を第一希望の音質として、オーダーメイドで製作させていただいたアンプです。
本機に使用している「Genalex Goldlion KT77」というパワー管は、超有名なKT88や、KT66ほど知られた真空管ではございませんが、
かつての英国GEC製のオリジナル・ヴィンテージ球に非常に忠実な特性・音質・ルックスに再現された、
復刻球の中でもとくに作りこみの優れたパワー管です。
本機は、現在いつでも入手できる復刻版「Genalex Goldlion KT77」を使用し、
この真空管の特性が最大に発揮されるプッシュプルAB1級・ウルトラリニア動作のスレテオ・パワーアンプとなっております。
シャーシ側面は、ブラックウォールナット無垢材を使用。角はなめらかなアール加工を施し、オイルフィニッシュにてやわらかくアンティークな雰囲気に仕上げております。
シャーシ上面およびトランスカバーは、弊社特別調色のシャンパンゴールド・ハンマートン塗装仕上げです。
この復刻版KT77は、2000年に入り以降、真空管の時代が完全に終了して、あらゆるかつてのオリジナル・ヴィンテージ球が入手困難となってから、
有名なEL34/6CA7に似ているけれど、当時から高価で希少であったため、知る人の少なかったGEC製KT77の優れた動作特性と、
その綿密かつ豊潤、透明感のある美しいサウンドにあらためて気付いた人たちの力により、現代に復刻された真空管です。
すでに各アンプで使用され、特性が似ており、製造本数の多いEL34/6CA7の電極構造の流用したようなものではなく、
元祖オリジナルのGEC社が製造した真空管に共通する、力強く爽快なヌケ感があり、とてもジェントルなサウンドキャラクターを再現するため、
すべての電極部材がオリジナルのKT77に忠実な純ビーム管構造、フラットカソード、フラットプレート、目合わせグリッドで、専用設計されているようです。
2000年に入り以降、電気機器のなかで真空管の需要はほとんど無いにもかかわらず、このような専用設計の真空管をまったく新たに復刻したことは非常に珍しく、
メーカーの強いこだわりを感じる、数少ない良質な現行球といえます。
トランス類はすべて、本機の回路と、サウンドコンセプトにぴったり合うように専用設計したものを使用しています。
電源トランス、および電源部は、大出力時の電圧降下が少なく、瞬間的な電流に追従しやすい倍電圧整流方式をとり、
エナメル巻線の線径を可能なかぎり太いものを使用して、電源のロスを最小限にしています。
また、ヒーター巻線はセンタータップアース式のため、ハムノイズが非常に少なくなっています。
出力トランスは、電源トランスと同じく大電流時に損失の少ない、太い巻線を用いるとともに、
本機の定格30Wの出力に対して、50W(RMS)級の大型コアを用いています。
それにより大出力の打ち込みや、大型スピーカーの駆動でもパワーダウンせず、
また、微細な信号の、うぶ毛が立つような繊細な表情を同時にアウトプットするために、絶妙な巻線ターン数と、巻線サンドウィッチ方法、コアサイズ、材質選定、アンプ全体の設計理念をもって
このアンプのためだけに製作した最高級出力トランスを搭載しております。
本機では、アンプのオーナー様のご要望により、アンプ本体から直接スピーカーをバイワイヤ接続できるように、ダブルで出力端子を設けております。
ご使用いただく環境により、出力端子の特殊なインピーダンスの増設に対応したり、
また、シンプルに使用するインピーダンスのみに限定することも可能です。
弊社では、アンプ回路・トランスを自由に設計製作できますので、御希望のインピーダンス・端子配列などもお気軽にご相談ください。
ご質問・ご相談などお気軽にお問い合わせ下さい。
eightrictrans@arrow.ocn.ne.jp
ボールハットのツマミ等のアクセサリーもエイトリック工房で手作りしています。
製作には時間が掛かりますが、旋盤を用いて、真鍮丸棒から一つ一つ手作業で削りだし、アンプデザインに合うようにサイズや形状を変えて特別製作しています。
また、正面のレタリングも、直筆で一文字ずつ心を込めて記入しています。
本機内部の写真です。
すべてのパーツは、後のメンテナンスの際に、たとえ回路図がなくても分かりやすく、パーツの交換が容易になるように、
そして、アンプの信号の流れに反することがないように、配列を行っています。
このことが結果的に、スムーズな信号の流れと、すぐれた静特性、残留雑音の低減(ローノイズ)、
瞬間的なサウンドダイナミクスや、はっきりコントラストの効いた音楽表現につながります。
」
本機はオーナー様のご要望により、KT77のほかに、EL34/6CA7をそのまま差し替えて使用できるように設計しております。
※ KT77ではなくEL34/6CA7のみに特化した場合や、
このアンプデザインにおいて、まったく他種の真空管を用いたアンプも製作可能です。
使用真空管は、
出力管 Ganelax Goldlion KT77、 ドライバー管 12BH7、 初段管 6AU6 (3極管接続)
すべての真空管は、きちんと動作試験が行われた良品(ペアー管)であれば、
無調整で差し替え可能となっております。
最大出力は、30W + 30W (ノンクリッピング)
物理的な周波数特性は、20Hz(±0db) ~ 40kHz(-1db)、50kHz(-3db)です。 (KT77使用時)
動作特性は、きわめて良好な周波数特性で、非常にフラットで優れた帯域バランスです。
出力管の規格上の限界である30Wまで歪むことなく出力する爽快なドライブは、さすが損失の少ないビーム管の最大の長所であるとともに、
このアンプだけの特別設計のトランス類と、アンプ全体の設計により、しっかりとした押し出し感・力強いドライブ感が得られています。
また一番大切な、人間の声の帯域がしっかり伝送されるように、最終調整でアンプ回路で微細な過渡特性の調整を行っており、
落ち着きがあり、長時間聴いていて疲れない、表現のニュアンスが正確に感じられる、真空管ならではの仄かにあたたかみのあるサウンドの要素を大切にし、
英国生まれのKT77のもつジェントルなキャラクターが生きた、包み込むような豊かなサウンドに仕上げております。
また、このアンプの製作を通して、復刻版KT77の素直で堅実な特性や、現行球の中では比較的特性が安定しており、ロングライフが見込めることを感じることもできました。
本機は、製作した私から、オーディオファンの皆様へ自信をもって製作できるアンプです。
Manufactured by Eightric Transformers, Nagoya, Japan.
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