EシリーズOPTができる様子。 左から、紙ボビン(巻芯) → コイル完成 → ロウ(ワニス)浸透 → コア組み → カバー取り付け。


エイトリックトランスの出力トランス(OPT)のヒミツ
その1   ・・・・  巻き線方法 と ボビン(巻き枠) について



当社製のトランスは、全品手作りで一つずつ製造されています。 とくに出力トランス(OPT)については、ご存じのように管球用トランスの中でも最も音質が変化しやすい部品といわれており、実際に細部の微妙な仕様の違いでも音質を左右する要因となっています。 


 真空管黄金時代(1940~60年頃)までは、すべてのトランスは基本的に「紙ボビン」といわれる巻芯にきれいにエナメル線を巻き取り、1段終わるごとにパラフィン紙(蜜ロウやワックスが浸透した0.03~0.05mmの極薄絶縁紙)で段間を絶縁、またその上にエナメル線を巻き取り、絶縁し、・・・・・・・とすべての段数が終わるまで永遠と続ける方法で製造されていました。  しかし、ご想像のとおり1個のコイルを完成させるまでに多大な時間ときれいに巻線できる技術が必須であり、製造コストが高くなり、しかも納期がかかるため、極めて面倒な製品でした。 

 そのため技術は進歩して、これに代わって70年代ごろから「プラスチックボビン(巻き枠)」が開発されました。 このプラスチックボビンは強度があり、しかもすべての規格が統一されていますので紙ボビンのような寸法の狂いがないため、大型の自動巻き線機にて一度に大量にコイルを製作することが出来、巻き枠に「ふち(縁)」が付いているので巻線が崩れる心配がなく、また、自動巻き線機用の取扱いが簡単で傷が付きにくいポリウレタン線やポリエチレン線が同時に開発されたため、1段ごとに絶縁紙を挿入する必要がなくなりました。

 無論製造コストは大幅に削減でき、また巻き線職人がいなくても「機械巻き」ができますので巻線技術そのものが不必要となり、現在はこちらのポリウレタン線 + プラスチックボビンを使用することが完全に定着し、どこのメーカーでも古くからの伝統的な「紙ボビン」製のトランスは製造されなくなりました。  


 しかしながら技術の進歩とともに失われたものも大きく、比較的新しいメーカーでは古い技術そのものを知らない場合も出てきているようで、とくに音質を重視するオーディオ用途・通信用などのトランスには致命的な欠点となっていることも事実です。 (古いトランスと現行のトランスでは、どんなものでも明らかに音質が違う・・・・事もこのうちの一つです。)


 巻き線(コイル)に関して大きく異なる事を以下に説明させていただきますと、
右の写真は伝統的な「紙ボビン」の出力トランス(当社製・EシリーズOPT内部) です。
一段ごとに絶縁紙を挿入して巻き線を行うため、トランスのコア(鉄心)に挿入する際、紙の厚み分が余計に必要になるため、巻き数を多く取ろうとすると必ずきれいに隙間なくエナメル線を巻き取る必要があります。 さもないとコイル完成後に鉄心が入らない・・・・ という事態になってしまいます。 
結果的には、全巻き線は均一に隙間なくエナメル線が巻き取られ、磁気方向に対してコイルが必ず直角に交わるようになり、コアを磁化する際、またコイルが誘導される際にもっともロスの少ない巻き線となると同時に、 コイルとコイルが極めて密になるために線間容量(キャパシタンス)が減少し、中域~高域の特性の暴れが減少します。
 (また任意で段間に隙間を作って、キャパシタンスを調整することも可能です。)

音質的にはすべてのコイル一本一本に均一に磁力線が掛かるため、しっとり濃厚な音質からスピード感のあるサウンドまであらゆる音楽信号を正しく伝送し、音に含まれる微妙な「空気感」や「温度感」を逃すことなく再生することが可能になるのです。
 特にヴィンテージ品に良くある「雰囲気」という点では非常に優れています。





 上記のコイルに対して左の写真は、近年のほとんどのトランスに使用される 「プラスチックボビン」 を使用した巻き線内部です。(他社現行品・Eシリーズ同等クラスのOPT内部)  
 一見して解るように、コイルが不均一に巻き取られ、電線と電線の間に大きな隙間があったり、電線が斜めになって巻き取られています。  一般にこの巻線方法を 「ガラ巻き」 と呼びますが、これは、プラボビンには元々ふち(縁)が付いており(写真右側)、電線がサイドに崩れないように工夫されているので巻線の土台となる絶縁紙・パラフィン紙などを巻き取る必要が一切ないため、非常に簡単にコイルを製作することが可能です。 

 しかし高速で巻き取った場合、どうしても上下左右の線と線がうまく噛み合わず、少しずつ隙間が生じてそれが巻線を重ねるうちに徐々に悪化し、最終的には極めて不均一なコイルが完成します。  これでは線間には不規則な場所に不規則な大きさで隙間が開いていることになり、ここには必ず線間容量(キャパシタンス)が発生します。  また同時に、電線が斜めだったり、下のコイルに食い込んだりしているのですべての電線がコアの磁力線を均等に受けることができず、若干の電力ロスを生じます。  しかも、紙ボビンでは可能だった任意によるキャパシタンスの調整が実質出来ませんので、巻き線の途中で細かな調整を行うことは困難です。

 オーディオ的には上記のような欠点は周波数の高い部分に大きな影響を及ぼし、高域特性が暴れたり、使用する真空管によって極端に音質が異なったり、また原因不明の発振を引き起こしたりすり要因の一つとなります。  またこれらの原因によって信号が正しく伝送されないために、スピード感は損なわれ、いわゆる 「ドロッとした音質」 や 「中低音が ”だんご” になる」、「切れが甘い」 などの音質悪化を引き起こし、結果的に「空気感」・「温度感」・「雰囲気」などから成り立つ「音楽性」が得にくくなります。  現代の多くの現行品に感じられるこのことは、基本的には巻線構造そのものから引き起こっている可能性が高いと言えます。


 しかしながら、良いとは分かっていても紙ボビンのトランスは上記のように途方もない手間が掛かり、しかも巻線技師(職人)が必要になりますので、現代の資本主義・合理主義的な流れからはほぼ完全に姿を消してしまい、これまでの多くのオーディオ用トランスメーカーも良品を作るためには妥協や苦戦を強いられてきたようです。 ゆえに、近年のトランスの音質で満足できない場合はヴィンテージトランス等を使用せざるを得ない状況になっているようです。 


 エイトリックトランスフォーマーではこういった現状を見直し、古き良き時代の技術をそのまま受けつぐ製品づくりを目指して、当社のすべてのオーディオ用トランス、特に出力トランス(OPT)では製造コストなどは全く排除して、「紙ボビン・紙巻き」による手作りのトランスで製造を行い、古き良き真空管と最もマッチングする音質を追求しています。
 これまで有るようで無かった上記の「紙ボビン」巻線方法で製造しているので、紙ボビンを作る段階、巻き線の途中段階から完成までそのすべてに責任と自信のある製品に仕上がっております。
 特筆して音質もは従来品とはまったく異なるものに仕上がっており、特にヴィンテージ品によくある独特の音楽性や雰囲気を伴った、新しく和みのあるトランスの音質をご提供しております。  出来るだけ多くの方に、一度は是非ご使用いただきたい製品と存じております。



 





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