KT66 プッシュプル モノラル×2 25W + 25W パワーアンプ   

2015/6

今回は、イギリス・GEC製の名出力管 「KT66」 を贅沢にプッシュプル・モノラル構成で使用して、
その深くて広い独特のサウンドを十分に発揮するアンプを製作致しました。

KT66は、KT88/6550より一回り小型の規格のビーム出力管ですが、それらの球や他の種類の球とはまるで異なる独特なサウンドポリシーを持っており、
プッシュプルで20W前後の出力でありながらとても充実した音質の球です。
近年ではオリジナルのGEC製(MO-V製)KT66はストックが残っておらず、より一層のプレミア価格となっていますが、
ここで妥協はせずに、本来の持ち味を最も発揮するビーム管接続のプッシュプルアンプと致しました。





今回もご好評いただいているブラックウォールナット柾目・無垢材を使用したシャーシで製作いたしました。
表面はオイルフィニッシュで質感のある仕上げです。










シャーシレイアウトは縦長として、標準的なオーディオラックに並べて収納できるサイズに収めてあります。
発熱の多い出力管は最も手前に配置することで、ラック収納時でも放熱効果を上げて、大切な真空管の寿命を伸ばすと共に、
コンデンサ等の他のパーツ類への輻射熱を最小限に抑えています。












入出力端子類は接続しやすいように、アンプ後方・上面に一列に配置してあります。
(バナナジャック対応 電源インレットは3P)



アンプの命とも云われるトランス類は、もちろんエイトリックトランスでこのアンプのためだけに設計製作しています。

普通一般的には、市販のトランスに対して回路を設計するため、回路も真空管も使用するトランスによって決定されてしまい、
アンプの特性や音質は、そのトランスの特性に大きく委ねられる結果となりますが、
当方はトランスメーカーですので、トランスの特性はどのようにでも調整可能で、
真空管の動作特性、回路設計、さらには希望する音質やアンプデザインまで考慮して、最も適合するトランスを設計製作できることが
他社製アンプとは最も大きく異なるポイントです


今回は特に、出力トランスにNF専用巻線(3次巻線)を設けた特殊なトランスを製作して、
KT66の両カソード間に直接NFBを掛けることにより、
そのままではハイインピーダンスすぎるビーム管接続時の内部抵抗を純3極管なみに低下させています。
この方法は、ビーム管や5極管の3極管接続や、ウルトラリニア接続のように、内部帰還により出力を犠牲にして特性を得ようとするものとは根本的に異なり、
ビーム管または5極管接続時の規定出力のままで効率よく内部インピーダンスを低下させることができます。

また、プッシュプルアンプでは通常のNFBより歪みの打ち消し効果が高くなり、球のアンバランスに対しても強くなると共に、
出力管の第2グリッドはプレートとは別電源ですので、3結やUL接続のようにプレートと一緒に高電圧が掛かることが一切無いため、
大切な真空管の寿命を損なう危険性もありません。

しかし一般的にはこのカソードNFB方式は特殊な出力トランスを必要とするために、
優れたNFB方式でありながら、ほとんど使用例はありませんが (トランスが無くて製作不可能なため)、
当方の持てるトランス製造技術を生かして、今回のアンプには専用設計のトランスを惜しみなく搭載しています。






アンプ内部はパーツをスムーズに配置して、後のメンテナンスもしやすいようにすっきりと設計してあります。
大掛かりなアンプであっても、使用するパーツはできるだけ少なく、調整箇所が少なく、安定した回路を目指しています。
回路図がないと分からないほど込み入った回路設計では、
行く行くのメンテナンスに支障をきたす場合もあり、あまり良いことではないと考えています。






使用真空管は、
出力管 KT66 (英国GEC製 ヴィンテージ球 1960年代後期)
ドライバー管 12AU7/ECC82
前段管 12AT7/ECC81 です。

すべての真空管は、きちんと動作試験を行い、ユニットバランスのマッチングした良品であれば、
無調整で差し替え可能になっています。






ボリュームツマミは、アンプにマッチするオリジナルデザインのものを
真鍮無垢材から旋盤で削りだして製作しました。
また、レタリングはハンドペイントです。











最大出力は25W+25W(ノンクリッピング) です。
カソードNFB方式の採用により、KT66の持つ本来の出力容量を確保しながら、
長期にわたる安定した動作と、真空管の寿命を考えた、質の高いアンプに仕上がりました。



物理的な周波数特性は、20Hz(-1db) ~ 15kHz(-2db)です。
現代の超広帯域アンプのような特性を求めてしまうと、最も肝心な中低域の情報量、エネルギー感や充実感がすべて失ってしまい、
結果的につまらないアンプになりますので、特に高域については、人間の耳に丁度良い、ゆるやかな減衰特性としてあります。

低域については、出力管のカソードNFBのお陰で、3結やUL接続のように音が鈍く感じることがなく、
音楽の主旋律に呼応して、スピーカーを軽快にドライブしている感じがとても好印象でした。
ご依頼主様のメインスピーカー B&W 802 Diamond においても、スピーカーの能率の低さなどは微塵も感じさせず、
とても抜けが良く、しっかりとスピーカーを駆動して、音場空間の広がりや奥行きを感じさせる印象でした。

特殊な出力トランスによるカソードNFB方式の採用により、
低域がしっかりと土台を築くので、最も情報量の多い中域を柔軟に鳴らすことが出来て、
KT66が本来持っているブリティッシュサウンドの奥深い陰影や豊かな表現力をよく引き出し、
一音一音がバラバラになることなく、音楽全体の構成がパノラマのように連続して移り変わるような充実したサウンドを展開します。
電源スイッチを入れて、音楽を聴くことがこれまで以上に楽しみになるアンプになりました。



       

Manufactured by Eightric Transformers, Nagoya, Japan.
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