6L6 シングル 5W + 5W ステレオアンプ   

2014/4

今回は、真空管の歴史の中で最も長く、そして最も多く使用されているといっても過言ではない、
歴史的名球「6L6」を使った、美しいアンプを製作いたしました。

6L6という真空管はあまりにも有名なため、希少性という意味では他の珍しい球には負けますが、
1936年の発表以来、基本構造をほとんど変えることなく現在でもロシアや中国等で製造され続けており、
後の6CA7/EL34やKT88といった大出力管の基礎となる、世界初の「ビーム出力管」です。
真空管黄金期には、オーディオアンプのみならず通信用、工業用などのあらゆる分野で最も活躍した真空管で、
手頃な出力と極めて優れた動作特性を兼ね備え、丈夫で寿命が長く、
他の高性能大出力管を横目にいまだ現役の座を降りることなく製造・使用され続けているという、
文句の付け所のない名球です。

それにより、6L6や6L6系の真空管は豊富なストックがあり、
最初期のメタル管から、大型ST管、小型ST管、GT管、高信頼管、現行管などが、世界中の真空管メーカー各社によって作られましたので
メーカー別・年代別等も合わせて、その種類は100を軽く超え、たとえばWE300Bのそれ1つしかないように決まってしまうものではないので、
好みで真空管を差し替えて音の変化を楽しむにも、入手し易く、これほど恵まれた球はほかに無いと思います。

そのような点も踏まえて、真空管を差し替えてもバランスが崩れにくく、
個々の球の個性がよく表れるシングル動作のアンプとして、今後の真空管ライフを楽しめる1台に仕上げました。






落ち着いた品のあるアンプデザインを目指して、各真空管やトランス、パーツ類が一つに調和するようなシャーシレイアウトとしました。
お客様のご意向で、このアンプで駆動予定のタンノイスピーカーの外観に合わせたブラックウォールナットの無垢材をシャーシ枠に使用し、
表面はオイルフィニッシュで味のある風合いに、
また、シャーシ上面やトランスカバー色は、渋いシャンパンゴールドのハンマートン塗装にて
使用するヴィンテージの6L6がよく生きるデザインに仕上げました。
















真空管アンプの命とも言われるトランス類は、もちろんエイトリックトランスの特製手巻きトランスです。
このアンプの回路動作に合わせて、電源トランス・出力トランスとも専用設計しています。


普通一般的には、市販のトランスに対して回路を設計するため、回路も真空管も使用するトランスによって決定されてしまい、
アンプの特性は、そのトランスの特性に大きく委ねられる結果となりますが、
当方はトランスメーカーですので、トランスの特性はどのようにでも調整可能で、
真空管の動作特性、回路設計、さらには希望する音質やアンプデザインまで考慮して、最も適合するトランスを製作できることが
他社製アンプとは大きく異なるポイントです。







入力はRCA端子で3系統、セレクター式で、出力は4Ω-8Ω-16Ωに対応しています。(バナナジャック対応)
各端子の取扱いがしやすい様に、すべてシャーシ上面に配置しました。






今回使用する6L6は大型ST管タイプのヴィンテージ管「6L6G」で、整流管の「5U4G」も同じサイズの大型ST管で揃えました。
前段は中ミュー双3極管の「6SL7GT」を使用しています。

6L6のST管は1937年から製造が開始されており、1950年代末ごろまで内外問わず各社で製造されていますが、
その後の改良管である中型GT管の「6L6GC」の登場以来、製造が打ち切りになっており、6L6GCが主力製品となった為、
今では専門ショップでもあまり見かけることのない珍しいタイプです。

このアンプでは、6L6系の真空管すべてを無調整で差し替え可能な回路にしてありますので、
メタル管、ST管、GT管など、さまざまな6L6を手軽に楽しむことができます。






使用したブラックウォールナット材は表面を鉋掛け後、オイルフィニッシュで木の表面をそのまま生かしてありますので、
正目材の落ち着いた風合いが美しい仕上がりとなっています。
また、正面レタリングはハンドペイントです。







内部配線もすべて手作業にて行い、ムダが無く整然とした配線に仕上げてあります。
後のメンテナンスや電圧チェック等がしやすいように工夫してあります。
音質に関係する要所のパーツ類は、音質チェックの上、厳選した信頼のヴィンテージパーツを使用することで、
このアンプによりマッチした仕上がりとなっています。


6L6は純粋なビーム管接続として、最大出力は5W+5W(ノンクリッピング) です。
6L6はもともとビーム管として生まれた真空管であり、その特性は非常に素直で安定していますので、
3極管接続やウルトラリニア接続で意図的に特性を稼ぐ必要は全くありません。
インピーダンスや出力キャパシティがぴったり適合した専用の出力トランスを設計していることもあり、
最大出力付近でも波形が乱れることが無く、出力以上に伸びのある音質が得られています。






音質については、シングルアンプの持ち味である、素直で伸びのあるサウンドと、6L6の特性の良さが相まって、
体にスッと沁み込むような心地よい音質です。
このような音質の多くは、低音に馬力が感じられないことが多いですが、
このアンプの場合は回路設計やトランス設計を完全にマッチさせていますので、
低音のタイトな感じや、グリップ感、リズム感、スピード感も、同種のアンプと比べればかなり感じられる音質です。

また、真空管を差し替えることにより、
雰囲気は驚くほどガラっと変わりますので、メーカーや形の異なる真空管を2、3種類ご用意いただければ、
その時に聴きたい曲に合わせて球を差し替えるという、贅沢な使い方も楽しめるでしょう。



       

Manufactured by Eightric Transformers, Nagoya, Japan.
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