ECL86/6GW8プッシュプル 10W+10W パワーアンプ   

2016/8

ヨーロッパ生まれの5極3極複合パワー管 ECL86/6GW8のプッシュプル・ステレオアンプです。
過去に製作した作品をベースに、人気の高いブラックウォールナット無垢材シャーシで新たに製作しました。
ECL86/6GW8は、昔から有名な6BM8/ECL82のハイパワー版として設計された出力管で、プッシュプルで最高15W程度まで出力可能とされています。
内部に12AX7相当の3極管を複合しているので、1本だけでシングル(モノラル)アンプが作れる優れた球です。
ヨーロッパ管独特の気品に満ちた暖かなトーンが最大の魅力です。





シャーシはお客様のご要望にて、人気の高いブラックウォールナット無垢材を使用し、格調高い仕上げにいたしました。
表面はオイルフィニッシュ仕上げですので、肌触りが良く落ち着いた雰囲気で、
月日の経過と使用するにつれ徐々にアンティークな味わいが増してきます。










トランス類・シャーシ上面の色は、落ち着いたシャンパンゴールドのハンマートン塗装仕上げ。
ブラックウォールナットの材質によくマッチしてより一層高級感のある仕上がりです。
ボリュームつまみは、ボールハット型の真鍮無垢材削りだし品。当方の旋盤で一つずつ製作しています。






手前の小さい球2本が前段のEF86/6267(旧ソ連製・高信頼ローノイズ球)、奥の4本が出力管のECL86/6GW8(1960年代ドイツSIEMENS製/RCA向けラベル)です。
整流管は5U4GB(RCA製)を使用しています。このアンプでは5AR4/GZ34と差し替え可能です。
すべて未使用NOSコンディションのヴィンテージ球を使用しています。






入出力端子類は接続しやすいように、アンプ後方・上面に一列に配置してあります。






シャーシ内部は各セクションに分けて、できるだけすっきりと配線を取りまとめ、
メンテナンスの際には誰がみても分かりやすいように備えてあります。
後にパーツの交換等を行う場合にも、目的のパーツのみを交換でき、他のパーツを掻き分けたり配線ミスの誘発をしないように勤めています。


今回のアンプでは、特殊なカソードNFBを採用したムラード型位相反転回路で設計いたしました。
カソードNFBについては 2015/6月のKT66モノラルアンプ にも詳しく紹介してありますが、
出力トランスにNF専用巻線(3次巻線)を設けた特殊なトランスを使用して、出力管の両カソード間に直接NFBをかけることにより、
そのままではインピーダンスが高すぎる5極管の内部抵抗を純3極管並みに低下させることが出来、
また従来の3極管接続やウルトラリニア接続のように、内部帰還によって出力を犠牲にして特性を得ようとする方法とは根本的に異なるNF方式ですので、
規定の出力を損なうことなく効率よくアンプの内部抵抗を低くすることができます。

カソードNFB方式はマッキントッシュ、マランツをはじめ、往年の名機にも大いに採用されている優れたNFB方式ですが、
特殊な3次巻線をもった出力トランスを必要とするため、現在市販されている多くのトランスでは実現不可能な回路でもあります。
当方ではトランス製造をすべて内製している点を生かして、製作するアンプのためだけに専用設計したトランスを使用していますので、
今回のような特殊な回路・トランスでも惜しみなく採用しています。






最大出力は、10W + 10W (ノンクリッピング)
物理的な周波数特性は、20Hz(-1db) ~ 20kHz(-1db)です。
カソードNFBを採用した特殊な回路の採用により、可聴帯域は非常にフラットな特性が得られています。
比較的近代に開発された真空管は、性能がよい分、それを生かすには高い回路設計技術と配線技術を要します。
今回のアンプでは近年ではあまり採用されなくなった特殊回路で設計しましたが、出力管ECL86/6GW8のキャラクターによくマッチして、
この球が本来持っているポテンシャルをうまく引き出すことができました。
広帯域でありながらハイファイ志向になりすぎず、古い音源から最新の楽曲まで、
真空管独特のゆったりとした余裕と、気品のあるサウンドで何でも楽しめる良いアンプに仕上がりました。



       

Manufactured by Eightric Transformers, Nagoya, Japan.
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